ES経営が中小企業を強くする!

マイナンバー制度(実務編)


本年10月頃までに必要な準備を!
民間企業は個人番号関係事務実施者として、原則全事業所に適用される

大規模事業者と中小規模事業者  

  1. 中小規模事業者とは、事業者のうち従業員の人数が100人以下の事業者のことをいいます。労働基準法第138条に定める中小事業者とは異なり、従業員のみで判断されます。したがって、従業員101人以上の事業者は大規模事業者(又は一般事業者)となります。ただし、次に掲げる事業者は中小規模事業者から除外されます。
    1. 個人番号利用事務実施者(行政機関等)
    2. 委託に基づいて個人番号関係事務又は個人番号利用事務を業務として行う事業者(税理士や社会保険労務士等)
    3. 金融分野(金融庁作成の「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」第1条第1項に定義される金融分野)の事業者
    4. 個人情報取扱事業者
  2. 従業員とは、中小企業基本法における従業員をいい、労働基準法第20条の規定により解雇の予告を必要とする労働者と解されます。なお、同法第21条の規定により第20条の適用が除外されている者は従業員から除かれます。具体的には、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者などが除かれます(Q&A11−2)。
  3. 従業員の数は、事業年度末(事業年度がない場合は年末等)の従業員の数で判定し、毎年、同時期に見直しを行っていく必要があります(Q&A11−2)。
  4. 中小規模事業者を「従業員数100人以下」としているのは、次に掲げる事情を踏まえ、制度の円滑な導入、事業者の負担、マイナンバ
    ーの数量等による影響等を総合的に勘案したものです。
    1. マイナンバー法においては、小規模事業者にも同様の安全管理措置を課しているが、事業者については個人番号関係事務がほとんどであり、扱う個人情報の量は主として従業員数に比例するものであること
    2. 中小企業基本法では、業務分類により従業員数の基準を変えていますが、特定個人情報保護ガイドラインにおいては、業種によって従業員数の基準を変える合理性はないことといった事項を考慮したこと

民間事業者が平成27年10月までに対応すべき事項  

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下、「マイナンバー法」という。)に基づき、平成27年10月頃から住民基本台帳に記載されている個人全員(外国籍の者も含む。)に対して、通知カードにより個人番号(以下、「マイナンバー」という。)が通知される予定であり、民間事業者としてこの時期までにマイナンバー法及び特定個人情報ガイドラインで求められる安全管理措置などの整備をする必要がありますが、少なくとも以下の作業が考えられます。

マイナンバーを受け入れる必要のある事務の範囲の明確化  

  • 自社においてどのようなマイナンバー関係事務を行うことになるのかを洗い出す必要があります。
  • 全ての事業者が行うこととなる事務としては、「給与所得・退職所得の源泉徴収票作成事務」、「雇用保険届出事務」、「労働者災害補償保険法に基づく請求に関する事務」、「健康保険・厚生年金保険届出事務」が考えられます。また、「報酬・料金等の支払調書作成事務」や「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書作成事務」が該当する事業者も多いと思います。

    さらに一部の事業者については「不動産の使用料等の支払調書作成事務」、「不動産等の譲受けの対価の支払調書作成事務」を行うことになります。

特定個人情報等の範囲の明確化  

  • 事業者は、上記1 で明確化した事務において取扱う特定個人情報等の範囲を明確にしておかなければならない。
    特定個人情報等の範囲を明確にするとは、事務において使用されるマイナンバー及びマイナンバーと関連付けて管理される個人情報(氏名、生年月日等)の範囲を明確にすることをいいます。

事務取扱担当者の選任  

  • 上記で明確化した事務に従事する事務取扱担当者を明確にしておかなければならない。この場合、後記で示すとおり、併せて事務における責任者や責任部署も明確にしなければなりません。

本人確認方法の定め  

  • マイナンバーを取得する際の本人確認の方法については、マイナンバー法16条に基づいて「対面、郵送、オンライン、電話」などさまざまな手段が認められているが、どのような手段で従業員等から取得するか、その手続きを定めておかなければなりません。

マイナンバー・特定個人情報の記録及び保存方法の決定  

  • 従業員等から受領したマイナンバーや特定個人情報に関して、特定個人情報ファイルとしてどのように保存するのか、確定する必要があります。具体的には、システム上に電子ファイルとして保存するか、書類ベースで保存するのかということです。

基本方針の策定  

  • 特定個人情報等の適正な取扱いの確保について組織として取り組むために、基本方針を策定することが重要とされています。 例えば、基本方針に定める項目としては、次に掲げるものが挙げられます。
    1. 事業者の名称
    2. 関係法令・ガイドライン等の遵守
    3. 安全管理措置に関する事項
    4. 質問及び苦情処理の窓口 等

取扱規程等の策定  

  1. 取扱規程(仮称「特定個人情報取扱規程」)は、次に掲げる管理段階ごとに、取扱方法、責任者・事務取扱担当者及びその任務等について定めることが考えられます。具体的に定める内容については、後に記載する安全管理措置を盛り込むことが重要です。
    1. マイナンバーを取得する段階
    2. 利用を行う段階
    3. 保存する段階
    4. 提供を行う段階
    5. 削除・廃棄を行う段階
  2. 手続規程(「マニュアル」など)は、例えば源泉徴収票等を作成する事務の場合、次のような事務フローに即して、手続を明確にしておくことが重要です。
    1. 従業員等から提出された書類等を取りまとめる方法
    2. 取りまとめた書類等の源泉徴収票等の作成部署への移動方法
    3. 情報システムへのマイナンバーを含むデータの入力方法
    4. 源泉徴収票等の作成方法
    5. 源泉徴収票等の行政機関等への提出方法
    6. 源泉徴収票等の本人への交付方法
    7. 源泉徴収票等の控え、従業員等から提出された書類及び情報システムで取扱うファイル等の保存方法
    8. 法定保存期間を経過した源泉徴収票等の控え等の廃棄・削除方法  等

安全管理措置の整備  

特定個人情報ガイドラインの「(別添)特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)」(以下、「安全管理措置ガイドライン」という。)に基づき、以下のとおり、組織的安全管理措置、人的安全管理措置、物理的安全管理措置及び技術的安全管理措置を整備する必要があります。  

  1. 組織的安全管理措置の整備
    1. 事務における責任者の選任及び責任の明確化
    2. 事務取扱担当者の選任及びその役割の明確化並びに取扱う特定個人情報等の範囲の明確化
    3. 取扱規程等に基づく運用状況を確認するため、システムログ又は利用実績を記録するための手段の整備
    4. 特定個人情報ファイルの取扱状況を確認するための手段の整備
    5. 情報漏えい等の事案の発生又は兆候を把握した場合に、適切かつ迅速に対応するための体制の整備
    6. 特定個人情報等の取扱状況を把握し、安全管理措置の評価、見直し及び改善に取組む体制の整備
  2. 人的安全管理措置の整備
    1. 事務取扱担当者に対して、特定個人情報等が取扱規程等に基づき適正に取扱われるよう、必要かつ適切な監督を行う体制の整備
    2. 事務取扱担当者に対して、特定個人情報等の適正な取扱いを周知徹底するとともに適切な教育を行うための整備
  3. 物理的安全管理措置の整備
    1. 特定個人情報等の情報漏えい等を防止するために、特定個人情報ファイルを取扱う情報システムを管理する区域(以下「管理区域」という。)及び特定個人情報等を取扱う事務を実施する区域(以下「取扱区域」という。)を明確にし、物理的な安全管理措置を講ずる。
    2. 管理区域及び取扱区域における特定個人情報等を取扱う機器、電子媒体及び書類等の盗難又は紛失を防止するための体制の整備
    3. 特定個人情報等が記録された電子媒体又は書類等を“持ち出す” 場合、容易にマイナンバー等が判明しない措置の実施及び追跡可能な移送手段の利用等、安全な方策の整備

      「持出し」とは、特定個人情報等を、管理区域又は取扱区域の外へ移動させることをいい、事業所内での移動であっても、紛失・盗難等に注意する必要がある。

    4. マイナンバー関係事務を行う必要がなくなった場合で、所管法令等で定められている保存期間を経過したときは、マイナンバーをできるだけ速やかに復元できない手段で削除又は廃棄する体制の整備
  4. 技術的安全管理措置の整備
    1. 情報システムを使用してマイナンバー関係事務を行う場合、事務取扱担当者及びその事務で取扱う特定個人情報ファイルの範囲を限定するために、適切なアクセス制御措置の整備
    2. 特定個人情報等を取扱う情報システムへのアクセスについて、正当なアクセス権者の識別と認証措置の整備
    3. 外部からの不正アクセス又は不正ソフトウェアから保護するための防止措置の整備
    4. 特定個人情報等を外部に送信する場合の情報漏えい等の防止措置の整備

(注) 本年10月頃までに上記全ての体制を整えるのは物理的に無理であろうと思います。その場合、最初の「事務の範囲の明確化」から「マイナンバー・特定個人情報の記録及び保存方法の決定」までを10月頃までに創り上げ、「基本方針の策定」以下は本年中に仕上げることで良いと考えます。  

民間事業者がマイナンバーを付す主な届出の例  

税分野  

  • 民間事業者は、税務署に提出する法定調書等に、従業員や株主等のマイナンバーを記載することになります。主な法定調書の例は次のとおりです。
    法定調書提出者根拠条文(所得税法)
    給与所得の源泉徴収票給与等の支払をする者226条1項
    退職所得の源泉徴収票退職手当等の支払をする者226条2項
    報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書報酬、料金、契約金及び賞金を支払った者225条1項3号
    配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書利益の配当、剰余金の分配及び基金利息の支払をする法人225条1項2号・8号
    新株予約権の行使に関する調書新株予約権を発行した株式会社228条の2
    不動産の使用料等の支払調書使用料等の対価の支払をする法人及び不動産業者である個人225条1項9号
    不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書あっせん手数料の支払をする法人及び不動産業者である個人225条1項9号

社会保障分野  

民間事業者は、雇用保険、健康保険、年金・労災などの場面で提出を要する書類に、従業員等のマイナンバーを記載することになります。  

主な法定調書の例提出者提出先根拠条文
雇用保険被保険者資格取得届適用事業所の事業主ハローワーク雇用保険法施行規則6条
雇用保険被保険者資格喪失届適用事業所の事業主ハローワーク雇用保険法施行規則7条
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届適用事業所の事業主健康保険組合・日本年金機構健康保険施行規則24条、厚生年金保険法施行規則15条
健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届適用事業所の事業主健康保険組合・日本年金機構健康保険施行規則29条、厚生年金保険法施行規則22条


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  • その他
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特定個人情報ガイドラインに基づく情報保護  

マイナンバーの取得段階

特定個人情報の利用目的の特定・通知等  

  1. マイナンバーを取得するときは、利用目的を本人に通知又は公表しなければならない。その通知の方法としては、(1) 社内LANにおける通知、(2) 利用目的を記載した書類の提示、(3) 就業規則への明記等の方法があります。ただし、マイナンバーの提出先を具体的に示す必要はありません(Q&A1−1)。
  2. 事業者は、マイナンバーの利用目的をできる限り「特定」しなければならないが、特定の程度としては「本人が、自らのマイナンバーがどのような目的で利用されるのかを一般的かつ合理的に予想できる程度に具体的に特定」することとされています。ガイドラインでは、利用目的の具体例が示されています。「源泉徴収票作成事務」、「健康保険・厚生年金保険加入等事務」など。
    なお、給与支払報告書や退職所得の特別徴収票は、源泉徴収票と共に統一的な書式で作成するので、「源泉徴収票作成事務」に含まれるとしています(Q&A1−2)。
  3. 複数の利用目的を包括的に明示することは可能ですが、利用目的を後から追加することはできないこととなっているため、漏れがないよう、ある程度抽象的に記載するのが良いとされています。

利用目的の通知の例〜包括的に明示する例

平成○年○月○日
従業員各位
○○○株式会社
マイナンバー利用目的通知書
 当社は、貴殿及び貴殿の被扶養者のマイナンバー(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に定める個人番号をいいます。)を以下の目的で利用いたします。

(1) 給与所得・退職所得の源泉徴収票作成事務

(2) 雇用保険届出事務

(3) 健康保険・厚生年金保険届出事務

(4) 労働者災害補償保険法に基づく請求に関する事務

(5) 国民年金の第3号被保険者の届出事務

マイナンバーの本人確認措置(マイナンバー法16条、特定個人情報ガイドライン第4−3−(4))  

  1. 従業員などのマイナンバーを取得する場合の本人確認方法

ア 個人番号カード(番号確認と身元確認)

イ 通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)

ウ 個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)

  1. 原則として、上記ア〜ウのいずれかの方法により確認する必要があります。
  2. 雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元確認を不要とすることも認められます。
  3. 対面だけでなく、郵送、オンライン、電話といった非対面によりマイナンバーを取得する場合にも、
    同じく番号確認と身元確認が必要となります。なお、「郵送」の方法による場合には、個人番号カードや通知カード・運転免許証等の写しを送付することになりますが、対面の場合とまったく同一に扱われます。
  1. 代理人から本人のマイナンバーの提供を受ける場合の本人確認方法

ア 代理権の確認は、法定代理人の場合は戸籍謄本など、任意代理人の場合は委任状

イ 代理人の身元確認は、代理人の個人番号カード、運転免許証など

ウ 本人の番号確認は、本人の個人番号カード、通知カード、個人番号の記載された住民票の写しなど

  1. 従業員の扶養家族のマイナンバーを取得する場合
    1. 扶養家族の本人確認は、各制度の中で扶養家族のマイナンバーの提供が誰に義務付けられているかによって異なります。
    2. 税の年末調整では、従業員が事業主に対して、その扶養家族のマイナンバーの提供を行うこととされているため、従業員本人が個人番号関係事務実施者として、その扶養家族の本人確認を行う必要があります。この場合、事業主が扶養家族の本人確認を行う必要はなく、またマイナンバー法上の監督義務も負わないこととしています(Q&A1−11)。
    3. 国民年金の第3号被保険者の届出においては、従業員の配偶者(第3号被保険者)本人が事業主に対して届出を行う必要があり、事業主が当該配偶者の本人確認を行う必要があります。ただし、通常は従業員が配偶者に代わって事業主に届出をすることが想定され、その場合は、従業員が配偶者の代理人としてマイナンバーを提供することになるため、事業主は代理人からマイナンバーの提供を受ける場合の本人確認を行う必要があります。この場合、従業員は配偶者からの代理権を証明するために、委任状(下記に事例)を事業主に提出する必要があります。

配偶者から従業員に対する委任状の例

委任状
 私は、私の配偶者であり、貴社の従業員である (従業員名) に対して、国民年金の第3号被保険者の届出事務に関して、貴社にマイナンバー(行政手続における特定の個人を識別するための利用等に関する法律に定める個人番号をいいます。)を提供する権限を付与します。
平成○年○月○日
(従業員の配偶者名)
  1. 個人番号カード等の本人確認書類のコピーの保管
    1. 個人番号カード等の本人確認書類のコピーを保管する法令上の義務はないが、本人確認の記録を残すためにコピーを保管することはできます。なお、コピーを保管する場合は、別途、安全管理措置を適切に講ずる必要があります(Q&A6−2)。
  2. 既に本人確認を行ったことがある従業員・顧客に対する本人確認〜原則としてマイナンバーの提供を受ける都度、本人確認を行う必要がある。

例えば、従業員からマイナンバーを記載した扶養控除等申告書を毎年提出してもらう場合、本人確認を毎回行う必要があります。ただし、2回目以降の番号確認は、事業者が初回に本人確認を行って取得したマイナンバーの記録と照合する方法でも良いとされています。また、身元確認についても、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元確認のための書類の提示は必要ないとしています(マイナンバー法施行規則3条5項)。

特定個人情報の利用段階

マイナンバーの利用制限(マイナンバー法9条、同法29条3項で読み替えて適用される個人情報保護法16条1項、同法32条、特定個人情報ガイドライン4−1−(1)B.a)  

  1. マイナンバーを利用できる事務については、マイナンバー法によって限定的に定められており、主として、源泉徴収票及び社会保障の手続書類に従業員等のマイナンバーを記載して行政機関等及び健康保険組合等に提出する場合となっています。
  2. マイナンバーを含む特定個人情報については、マイナンバー法29条3項なより読み替えられた個人情報保護法16条が適用されるため、本人の同意があったとしても利用目的を超えて特定個人情報を利用することはできません。例えば、源泉徴収のために取得したマイナンバーは源泉徴収に関する事務に必要な限度でのみ利用が可能となります。
  3. マイナンバーについても利用目的(マイナンバーを利用できる事務の範囲で特定した利用目的)の範囲内でのみ利用することができます。この場合、複数の利用目的をまとめて明示することは可能ですが、利用目的を後から追加することはできません。

特定個人情報ファイルの作成の制限(マイナンバー法28条、特定個人情報ガイドライン4−1−(2))  

  1. マイナンバー法28条には、事業者は個人番号関係事務又は個人番号利用事務を処理するために必要な範囲を超えて特定個人情報ファイルを作成してはならないと規定しています。したがって、法令に基
    づき行う従業員等の源泉徴収票作成事務、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届作成事務等に限って、特定個人情報ファイルを作成することができるのであり、これらの場合を除き特定個人情報ファ
    イルを作成することはできません。
  2. 例えば、事業者が従業員等のマイナンバーを利用して営業成績等を管理する特定個人情報ファイルを作成することはてせきません。事業者から従業員等の源泉徴収票作成事務について委託を受けた税理士
    等の受託者についても、「個人番号関係事務実施者」に該当することから、マイナンバー関係事務を処理するために必要な範囲で特定個人情報ファイルを作成することができます。

特定個人情報の提供段階

特定個人情報の提供制限〜第三者提供の制限(マイナンバー法19条、ガイドライン4−3−(2))  

  1. マイナンバー法19条は、誰であってもマイナンバー法で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を「提供」してはならないと規定しています。したがって、事業者が特定個人情報を提供できるのは、社会保障、税及び災害対策に関する特定の事務のために従業員等の特定個人情報を行政機関等及び健康保険組合等に提供する場合に限られます。
  2. マイナンバー法29条3項は、個人データの第三者提供に関する個人情報保護法23条が適用除外としているため、マイナンバー法上、第三者提供ができるのは、同法19条各号に限定列挙されている場合に限られます。
  3. 個人情報保護法では本人の事前の同意があれば第三者提供が可能(同法23条1項1号)ですが、マイナンバー法においては本人の同意があっても第三者提供は認められません。また、第三者提供の例外
    として認められている「オプトアウト制度」(同条2項)や「共同利用の制度」(同条4項3号)は、マイナンバーでは認められません。

    [オプトアウト制度]
    個人情報の第三者提供に当たり、あらかじめ以下の4項目を本人に通知するか、又は本人が容易に知りえる状態に置いておくことをオプトアウト制度という。

    (1) 第三者への提供を利用目的とすること

    (2) 第三者に提供される個人データの項目

    (3) 第三者への提供の手段又は方法

    (4) 本人の求めに応じて第三者への提供を停止すること
    この4つの要件を満たしている場合に限り、本人の許可がなくても第三者提供ができます。

    [共同利用の制度]
    個人情報を関連会社や提携会社と共同利用できる制度のことで、例えば生命保険会社において、保険金及び入院給付金等の支払が正しく確実に行われるよう当該生命保険会社の保険契約等に関する所定の情報を特定の者と共同して利用するなどのことをいう。

  4. 従業員が親会社から子会社に転籍する際に、当該従業員がマイナンバーを子会社に提供することを事前に同意していたとしても、提供はできずマイナンバー法違反になります。しかも、単にマイナンバー法に違反するだけでなく、故意によるマイナンバーの漏えいとして罰則の対象にもなります。違反した個人には、「4年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又は併科が科せられます(同法67条)。
    そしてその個人が所属する法人に対しては200万円以下の罰金刑が科されます(同法77条1項)。
    したがって、特定個人情報の提供を求められた場合には、その提供を求める根拠が、マイナンバー法19条各号に該当するか否かをよく確認し、同条各号に該当しない場合は提供してはなりません。
    なお、その特定個人情報のうちマイナンバー部分を復元できない程度にマスキング又は削除すれば、個人情報保護法における個人情報となるため、同法23条に従うことになります(Q&A5−9)。

「提供」の意義  

  1. マイナンバー法上、「提供」とは、法的な人格を超える特定個人情報の“移動” を意味するものであり、同一法人の内部等の法的な人格を超えない特定個人情報の移動は、「提供」ではなく「利用」に当たり、利用制限(マイナンバー法9条、28条、29条3項、32条)に従うことになります。
  2. ガイドラインでは、以下のとおり、「提供」に当たらない場合と当たる場合を具体的に例示しています。

    [特定個人情報の「提供」に当たらない場合]
    事業者甲の中のX部からY部へ特定個人情報が移動する場合、X部・Y部はそれぞれ甲の内部の部署であり、独立した法的人格を持たないから「提供」にはあたらない。例えば、営業部に所属する従業員等のマイナンバーが、営業部庶務課を通じ、給与所得の源泉徴収票を作成する目的で経理部に提出された場合には、「提供」には当たらず、法令で認められた「利用」となる。
    [特定個人情報の「提供」に当たる場合]
    事業者甲から事業者乙へ特定個人情報が移動する場合は「提供」に当たる。同じ系列の会社間等での特定個人情報の移動であっても、別の法人である以上、「提供」に当たり、提供制限に従うこととなるため留意する必要がある。例えば、ある従業員等が甲から乙に出向又は転籍により異動し、乙が給与支払者(給与所得の源泉徴収票の提出義務者)になった場合には、甲・乙間で従業員等のマイナンバーを受け渡すことはできず、乙は改めて本人からマイナンバーの提供を受けなければならない。

特定個人情報の廃棄・削除段階

保管制限と廃棄  

  1. マイナンバー法20条は「何人も、マイナンバー法19条各号のいずれかに該当する場合を除き、他人のマイナンバーを含む特定個人情報を保管してはならない」と規定している。
    この規定に基づき、マイナンバーはマイナンバー法で限定的に明記された事務を処理するために収集又は保管するものであり、それらの事務を行う必要がある場合に限り、特定個人情報を保管し続けることができます。
  2. それらの事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。この場合、そのマイナンバー部分を復元できない程度にマスキング(注)又は削除した上で保管を継続することは可能とされています。
    ※ 特定個人情報の廃棄・削除は、個人情報保護法では求められていないマイナンバー法特有の措置です。
    (注)マスキングとは、黒塗りをして塗り潰すこと、又はマイナンバー項目にスペースを上書きすることなどのことであり、システム的に表示させないことではありません。

保管制限と廃棄の具体例  

  1. 雇用契約等継続的な契約関係がある場合
    1. 雇用契約等の継続的な契約関係にある場合には、従業員等から提供を受けたマイナンバーを給与の源泉徴収事務、健康保険・厚生年金保険届出事務等のために翌年度以降も継続的に利用する必要が認められることから、特定個人情報を継続的に保管できると解される。
    2. 従業員等が休職している場合には、復職が未定であっても雇用契約が継続していることから、特定個人情報を継続して保管できると解されます。
  2. 扶養控除等申告書
    1. 扶養控除等申告書は、当該申告書の提出期限(毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日まで)の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日まで保存することとなっていることから、当該期間を経過した場合には、原則としてマイナンバーが記載された扶養控除等申告書をできるだけ速やかに廃棄しなければなりません。
    2. このため、マイナンバーが記載された扶養控除等申告書等の書類については、保存期間経過後における廃棄を前提とした保管体制をとることが望ましいとされています。
  3. 給与所得の源泉徴収票、支払調書等の作成事務のために提供を受けた特定個人情報を電磁的記録として保存している場合
    1. 給与所得の源泉徴収票、支払調書等の作成事務のために提供を受けた特定個人情報を電磁的記録として保存している場合においても、その事務に用いる必要がなく、保存期間を経過した場合には、原則としてマイナンバーをできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。
    2. そのため、特定個人情報を保存するシステムについては、保存期間経過後における廃棄又は削除を前提としたシステムを構築することが望ましいとされています。
  4. 土地の賃貸借契約等の継続的な契約関係にある場合
    1. 土地の賃貸借契約等の継続的な契約関係にある場合も同様に、支払調書の作成事務のために継続的にマイナンバーを利用する必要が認められることから、特定個人情報を継続的に保管できると解されます。
  5. 特定口座、非課税口座等、毎年、取引報告書の提出が義務付けられている場合
    1. 特定口座、非課税口座等、毎年、取引報告書の提出が義務付けられている場合に、顧客から提供を受けたマイナンバーを取引報告書作成事務のために翌年度以降も継続的に利用する必要があることから、特定個人情報を継続的に保管できると解されます。
  6. 特定口座開設届出書
    1. 特定口座開設届出書、当該届出書に係る特定口座につき特定口座廃止届出書等の提出があった日の属する年の翌年から5年間保存することとなっていることから、当該期間を経過した場合には、当該特定口座開設届出書に記載されたマイナンバーを保管しておく必要はなく原則として、マイナンバーが記載された特定口座開設届出書をできるだけ速やかに廃棄しなければなりません。
      そのため、マイナンバーが記載された特定口座開設届出書等の書類については、保存期間経過後における廃棄を前提とした保管体制をとることが望ましいとされています。
  7. 支払調書作成事務のために提供を受けた特定個人情報を電磁的記録として保存している場合
    1. 支払調書作成事務のために提供を受けた特定個人情報を電磁的記録として保存している場合においても、その事務に用いる必要がなく所管法令で定められている保存期間を経過した場合には、原則として、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。
      そのため、特定個人情報を保存するシステムにおいては、保存期間経過後における廃棄又は削除を前提としたシステムを構築することが望ましいとされています。

人事労務関連書類の法定保存期間  

書類保存期間起算日
労災保険に関する書類3年完結の日
雇用保険の被保険者に関する書類(離職票、雇用保険被保険者資格取得確認通知書など)4年完結の日(退職等の日)
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 給与所得者の配偶者特別控除申告書 源泉徴収票7年属する年の翌年1月10日の翌日
健康保険・厚生年金保険に関する書類(資格取得確認通知書、資格喪失確認など)2年完結の日(退職等の日)


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