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法改正情報33


雇用保険法等の一部を改正する法律の概要

平成28年1月29日改正案を第190回通常国会に提出、平成28年3月29日成立
施行期日は平成28年4月1日・8月1日・平成29年1月1日(それぞれの内容説明で施行日記載)


労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正  

雇用保険料率の変更(施行期日:平成28年4月1日)  

  • 政府は、近年の完全失業率(平成27年12月―3.3%)の改善に伴う失業等給付財政収支が黒字であることから、平成28年度以降に弾力条項(※)を発動するとして試算しても安定的な運営が確保できることから、次のように雇用保険料率が引き下げとなります。

労働保険徴収法第12条第5項の規定に基づき、財政状況に照らして一定の要件を満たす場合には、雇用保険料率を厚生労働大臣が変更できることとされています。

[平成24年度〜27年度の雇用保険料率]  

事業の種類(1)労働者負担/失業等給付の保険料率(2)事業主負担/失業等給付・二事業(1)+(2)/雇用保険料率
一般の事業5/10008.5/100013.5/1000
農林水産業・清酒製造業6/10009.5/100015.5/1000
建設業6/100010.5/100016.5/1000

[平成28年度の雇用保険料率]  

事業の種類(1)労働者負担/失業等給付の保険料率(2)事業主負担/失業等給付・二事業(1)+(2)/雇用保険料率
一般の事業4/10007/100011/1000
農林水産業・清酒製造業5/10008/100013/1000
建設業5/10009/100014/1000

雇用保険料免除措置の廃止(施行期日 平成32年4月1日)  

  • 現行においては、毎年4月1日時点で満64歳以上の者については、雇用保険料が労働保険徴収法第11条の2及び厚生労働省令に基づき「高年齢労働者」として雇用保険料が免除されていますが、この免除制度が廃止され、新たに保険料が徴収されます。
  • この措置は、後述する満65歳以上で新たに雇用される者を雇用保険の適用対象とする雇用保険法の改正に合わせた措置です。ただし、65歳以上の労働者を多く抱える中小企業に大きな影響が出るため、一定期間の経過措置を設けるため、平成31年度分までの保険料徴収は免除となります。
  • 当面実務的に影響はないが、平成32年4月1日以降において満64歳以上で新たに雇用される者については、雇用保険料は免除されません。また、既に高年齢(継続)被保険者として保険料の免除を受けている者については、この日を境に雇用保険料の徴収が必要となることが想定されることから、給与計算時において注意する必要があります。

高年齢者に関する雇用保険法の一部改正  

雇用保険の適用対象の拡大(施行期日 平成29年1月1日)  

  • 現行では、満65歳以降に新たに職業に就いた者について、雇用保険の被保険者となることは出来ません。
    しかし、ハローワークの新規求職者数、就職件数及び高年齢求職者給付金の受給者数が大幅に増加しています。また、老後の家計や収入について懸念があり、今後も就職を希望する高年齢者が増加することが考えられます。
    これらの状況を考慮し、施行日以降に65歳以上の者が新たに雇用される場合、新たに「高年齢被保険者」という種類が誕生し、雇用保険の適用対象とすることになりました。このため、現行の「高年齢継続被保険者」も上記の名称に統一されます。
  • 平成29年1月1日以降において満65歳に達した者で、週労働時間が20時間以上、かつ、31日以上雇用の見込みがある者を雇い入れる場合は、雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要となります。
    また、平成29年1月1日前に既に満65歳以上で雇用された者は、施行日時点では雇用保険の被保険者とはなっていませんが、施行日付で加入手続が発生する可能性があります。
    なお、雇用保険料の免除が平成32年3月31日まで続くことから、新たに雇用保険被保険者となっても、免除期間中は現状の給与計算及び労働保険年度更新に影響はありません。

満65歳以上で新たに雇用された高年齢被保険者への失業等給付の支給  

  • 高年齢被保険者が失業した場合は、高年齢求職者給付金(下表1)が支給されます。また、高年齢求職者給付金の受給資格者は、就業促進手当(常用就職支度手当(下表2)に限る。)の支給対象になるとともに、移転費、休職活動支援費及び教育訓練給付金(※)も支給対象となります。
    ※高年齢被保険者でなくなった日から1年以内に教育訓練を開始する者も支給対象となる。
  • 満65歳以上で新たに就職した者のうち雇用保険の被保険者となった方には、退職時に離職票を発行する必要があります。なお、高年齢求職者給付金は、一般の受給資格者と異なり、離職日以前1年間のうち被保険者期間が6か月あれば受給資格を得ることができるので、満6か月間勤務し、被保険者期間の賃金支払基礎日数が全て11日以上あれば、基本手当の受給が可能となります。

表1 高年齢被保険者(一時金)  

被保険者であった期間1年未満1年以上
高年齢求職者給付金の額30日分50日分

表2 常用就職支度手当(一時金)  

  • 障害がある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に、
    基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であり、一定の要件に該当する場合に支給される。

支給額 = 90日(※1) × 40% × 基本手当日額(※2)

※1 支給残日数が90日未満の場合は支給残日数に相当する数(45を下回る場合は45)
※2 基本手当日額の上限は5,830円(60歳以上65歳未満は4,725円)。毎年8月1日に「毎月勤労統計」の平均給与額により改訂される。

シルバー人材センターの要件の緩和措置(施行期日平成28年4月1日)  

改正の趣旨  

  • 地域の実情に応じ、高齢者のニーズを踏まえた多様な就業機会を確保する観点から、臨時的かつ短期的又は軽易な業務に限定されているシルバー人材センター等の取り扱う業務の要件を緩和するための改正

現行の内容  

  • シルバー人材センターの取り扱う業務は、「臨時的かつ短期的」(おおむね月10日程度まで)又は「軽易な業務」(おおむね週20時間程度まで)に限定されている。

改正の内容  

  • シルバー人材センターの業務のうち、派遣・職業紹介に限り、週40時間までの就業を可能とする。
  • 上記の要件緩和により、民業圧迫等が起きることのないよう、以下の仕組みを設ける。
    • 要件緩和により、都道府県知事が、高年齢退職者の就業機会の確保に寄与することが見込まれ厚生労働省が定める基準(※1)に適合すると認められる場合に、対象となる市町村ごとに業種・職種を指定することにより可能とすること。
    • 要件緩和を実施する業種等を指定するに当たっては、あらかじめ地域の関係者(※2)の意見を聴取するとともに、厚生労働大臣に協議すること。
    • 要件緩和に係る厚生労働省が定める基準に適合しなくなったときは、指定を取り消すこと。

      ※1 次の2つの基準を規程。すなわち、要件緩和を行う市町村の区域において

      • 指定しようとする業種・職種について労働者派遣事業、職業紹介事業等を行う事業者の利益を不当に害することがないと認められること。
      • 他の労働者災害補償保険法の雇用の機会や労働条件に著しい影響を与えることがないと認められること。

      ※2 次の関係者を規程する。

      • 市町村長
      • シルバー人材センター等
      • 指定しようとする業種・職種について労働者派遣事業、職業紹介事業を行う事業者を代表する者
      • 当該市町村の労働者を代表する者

育児・介護休業法の一部改正  

育児休業の見直し(施行期日 平成29年1月1日)  

今回の改正で、育児休業の対象となる「子」について、次の要件が追加されます。  

  1. 特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者であって、労働者が現に監護する者

    特別養子縁組とは、民法第817条2に規定されており、産みの親の方にさまざまな事情で自身で育てることが出来なくなった子について、原則として6歳未満の子を養親が要保護要件を申し立てた時点から起算して6か月の試験養育期間後、家庭裁判所の審判で成立する養子縁組をいう。この場合、養親が法律上の夫婦であり、かつ、一方が20歳以上、もう一方が25歳以上でなければならない。

  2. 児童福祉法第6条の4第1項に規定する里親である労働者に委託されている児童のうち、当該労働者が養子縁組によって養親となることを希望している者

    里親とは、通常の親権を有さずに児童を養育する者のことで、個人間の同意の下で児童を養育する「私的里親」と、児童福祉法に定める里親制度の下で児童を養育する「公的里親」がある。このうち、公的里親には「養育里親」(最も多く、公的里親のうち8割以上)「短期里親」「親族里親」「週末里親・季節里親・ボランティア里親」(地域によって呼び名が異なる。)、「養子縁組里親」などがある。このうち、養子縁組里親は、将来的に里子との養子縁組を希望する里親のことをいう。

  3. これらに準ずるものとして厚生労働省令で定める者に、厚生労働省令で定めるところにより委託されている者

    具体的には、児童相談所において養子縁組を希望する里親に児童を委託しようとしたが、実現の同意が得られなかったため、養育里親として当該里親に委託されている児童

期間雇用者(有期契約労働者)が1歳未満の子についてする育児休業の申出要件の変更  

  • 現行では、育児休業の申出をすることができる期間雇用者については、育児休業の申出があった時点で次の(1)〜(3)の全てを満たすことが必要とされています。

    (1) 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること。
    (2) 子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること。
    (3)子の2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと。

  • しかし、改正後は上表の(2)と(3)は廃止され、次の(1)、(2)の両方の要件を満たすことができれば、育児休業の申出ができるようになります。

    (1) 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること(変更なし)
    (2) 子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約が満了することが明らかでないこと(労働契約が更新される場合にあっては、更新後の期間を含む。)

介護休業の見直し(施行期日 平成29年1月1日)  

分割取得と対象家族の範囲の拡大  

  • 現行は、対象家族1人につき介護休業開始予定日から終了日までを1つの期間として最大93日、原則として1回の申出のみとなっていますが、今回の改正により、最大3回までの分割取得が認められるよ
    うになりました。
  • また、この93日の中には、短時間勤務や時差出勤など育児・介護休業法第23条に規定する所定労働時間の短縮措置等を講じた日数が含まれていましたが、今回の改正では、これらを除き介護休業をした
    日のみで通算93日を限度として取得できるようになりました。
  • 対象家族の範囲について、今回の改正により現行の範囲に加えて、同居及び扶養をしていない祖父母、兄弟姉妹並びに孫についても対象家族とされ、その範囲が拡大されました。

期間雇用者の対象者の拡大  

  • 今回の改正で、期間雇用者の介護休業についても、労働契約の期間満了日を6か月短縮し、以下のように介護休業の対象者を拡大されました。
    [ 改正前 ]

    (1) 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること。
    (2) 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(93日経過日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)

[ 改正後 ]

(1) 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること(変更なし)。
(2) 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

  • 期間雇用者の育児休業及び介護休業について申出対象者が拡大されるため、雇用契約書の内容の確認が必要となります。育児休業は子が1歳6か月に達する日まで、介護休業は休業開始予定日から93日+6か月の期間について雇用契約更新の有無を確認し、休業取得の可否を決定することになります。

子の看護休暇及び介護休暇の見直し(施行期日 平成29年1月1日)  

1日の所定労働時間が4時間超の者に対する看護休暇、介護休暇の改正  

  • 子の看護休暇及び介護休暇については、現行では原則として「1日単位」の取得となっていますが、指針(平成21年厚生労働省告示第509号)に基づき、既に「半日単位」の取得を可能とする規定を定めている事業所(SOC蠅癸影又は半日単位の取得としている。)もありますが、今回の改正で「半日単位」の取得が定められました。
  • また、今回の改正で、1日の所定労働時間が4時間を超える労働者について、半日(所定労働時間の2分の1。例えば、所定労働時間が6時間の者は、3時間の看護休暇又は介護休暇が取得できる。)の休暇が取得できることとなりました。

半日単位の子の看護休暇及び介護休暇を取得することができない労働者の追加  

  • 労使協定により、看護休暇や介護休暇の申出を拒むことができる労働者について、現行では、
    ‘碓譴了業主に雇用された期間が6か月未満の者、
    ■噂鬼屬僚蠶袁働日数が2日以下の者
    のいずれかとされていますが、今回の改正で「業務の性質若しくは実施体制に照らして、上記の半日単位の休暇を取得することが困難と認められる従事する労働者」が下表のとおり追加されます。
  • 業務の性質に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
    • 国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務
  • 業務の実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
    • 労働者が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務
  • 業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
    • 流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
    • 交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
    • 個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務

介護所定時間外労働の制限、所定労働時間の短縮等の措置の見直し(施行期日 平成29年1月1日)  

所定時間外労働の制限の新設  

  • 育児を行う労働者については、以前から所定時間外労働の免除の制度がありましたが、介護の場合にはその制度がありませんでした。今回の改正で、介護離職の削減を目的として同様の制度が新設され、介護を行う労働者が請求した場合は、所定労働時間を超える時間外労働をさせることができなくなりました。
  • 上記の場合、労使協定の締結により下表に掲げる労働者についてこの制度の対象外とすることができます。また、当該労働者の請求が、
    事業の正常な運営を妨げる場合には、当該請求を拒否することができます。
    1. 事業主に引き続き雇用された期間が、1年に満たない労働者
    2. 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • なお、この制度による制限は、1か月以上1年以内の範囲で、その初日と末日を明らかにして、制限開始予定日の1か月前までに請求しなければなりません。また、この制限期間は時間外労働の制限(1か月24時間まで、及び1年150時間まで)に係る期間と重複しないようにしなければなりません。

所定労働時間の短縮措置等の改正

  • 現行の法令では、所定労働時間の短縮措置の期間は、介護休業と通算して93日の範囲内でのみ可能とされていましたが、今回の改正で介護休業との通通算規定がなくなり、当該短縮措置の期間も93日から3年と大幅に延長されました。同時に、この制度は、利用開始から3年の間で2回以上の取得が可能となっています。

育児・介護休業給付に関する雇用保険法の一部改正

育児休業給付金の支給対象となる子の範囲の拡大(施行期日 平成29年1月1日)

  • 平成29年1月1日から、育児・介護休業法の一部改正により、上記に記載したように、育児休業の対象となる「子」の範囲が拡大されたため、育児休業給付金についても同様に対象範囲が拡大されます。当該対象者は施行日以後に当該「子」を養育する育児休業を開始する者であって、施行日前に休業を開始した場合は、従前の法律が適用されます。

介護休業給付金に係る賃金日額の上限額の変更及び介護休業給付金の支給率の引上げ(施行期日 平成28年8月1日)

介護休業給付金に係る賃金日額の上限額の変更

  • 現行の介護休業給付金に係る休業開始時賃金日額の上限額は、30歳以上45歳未満の基本手当受給者の賃金日額に設定されていますが、今回の改正で、介護休業給付金受給者の年齢層が40代以降であることを踏まえ、上限額の年齢区分が、実情に合わせて45歳以上60歳未満に引上げられます。
    [改正前]賃金日額の上限額(30歳以上45歳未満)14,210円
    [改正後]賃金日額の上限額(45歳以上60歳未満)15,620円
  • ただし、賃金日額の上限額は、毎年8月1日付で「毎月勤労統計」の平均給与額により改定される。

介護休業給付金の支給率の変更

  • 平成26年4月から育児休業給付金の支給率が、休業開始後180日までの期間について休業開始時賃金日額の67%に引上げられていますが、介護休業給付金については平成13年1月にそれまで25%から40%に引上げられたが、以来15年間にわたり変更がなされませんでした。
  • しかし、急速な高齢化の進展により、要介護認定などの数が増加傾向にある中、介護と仕事を両立することができずに止むを得ず離職する人数も急増している状況にあります。そのため、介護休業期間中の所得保障を手厚くし、介護離職することなく雇用が継続できるよう、当該給付率が現行の育児休業給付金と同様の水準に、下表のとおり引上げられました。
    改正前休業開始時賃金日額×支給日数×40%
    改正後休業開始時賃金日額×支給日数×67%
  • 新しい給付率が適用されるのは、施行日以後に開始した介護休業が対象となりますので、施行日前に開始した介護休業に対する給付金額は、改正前の給付率で計算されることになります。

介護休業給付金の支給回数の制限緩和(施行期日 平成29年1月1日)

  • 現行の介護休業給付金支給申請書の提出回数は1回限りですが、改正により、今後は対象家族1人につき3回までの休業を介護休業給付金の支給対象となります(介護休業が3回までの分割取得ができることとなったことへの対応措置)。
  • この対象者は、施行日以後に当該対象家族を介護する休業を開始する者となりますので、施行日前に介護休業を開始した場合は、従前の法律が適用されます。
  • 上記のように、同一の対象家族について最大3回、通算93日までの分割申請が可能となります。この分割取得の際の「みなし被保険者期間(※)」と「休業開始時賃金日額」の取扱いについては次のようになります。
    みなし被保険者期間については、2回目以降の申請についても初回の介護休業を開始した日前の被保険者期間が適用されますが、休業開始時賃金日額については、2回目と3回目はそれぞれ休業開始前の賃金を基に支給額を決定することになります。
  • 前記の場合、同一の対象家族の4回以上又は93日を超える介護休業については、給付金の支給はありません。したがって、実務上の注意として、対象家族とそれに対する休業申出回数及び休業残日数の管理、さらに、時期によって賃金に変更が生ずる場合、休業開始時賃金日額の管理も重要となります。

    「みなし被保険者期間」とは、休業開始日の前日を離職日とみなして計算される被保険者期間のことで、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あれば、給付金を受けることができます。

失業等給付に関する雇用保険法の一部改正

就業促進手当、広域求職活動費の改正(施行期日 平成29年1月1日)

就業促進給付の改正

  • 就職促進給付のうち、厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者であって、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上である者に支給される就業促進手当(再就職手当)の給付率が下表のように変更されます。
    基本手当の支給残日数就職手当の額(一時金)
    所定給付日数の3分の1以上所定給付日数の3分の2以上
    改正前基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×50%基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×60%
    改正後基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×60%基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×70%
  • 基本手当日額の上限は、現在5,830円(60歳以上65歳未満は4,725円)。毎年8月1日付で「毎月勤労統計」の平均給与額により改定される。

就業促進定着手当の上限額の変更

  • 早期に再就職して再就職手当の支給を受けた者が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ、再就職先で6か月の間に支払われた賃金が雇用保険の給付を受ける離職前の額(賃金日額)に比べて低下している場合に、就業促進定着手当の給付を受けることができますが、
    この支給額の上限が再就職手当と合計して支給残日数の100%相当額となるように変更されました。
    基本手当の支給残日数就職手当の額(一時金)
    所定給付日数の3分の1以上所定給付日数の3分の2以上
    改正前基本手当日額×基本手当の支給残日数相当数×40%
    改正後基本手当日額×基本手当の支給残日数相当数×40%基本手当日額×基本手当の支給残日数相当数×30%
  • 基本手当の支給残日数相当数とは、再就職手当の給付を受ける前の支給残日数をいいます。

広域求職活動費の名称変更及び支給内容の変更(名称は「求職活動支援費」に変更)

  • 現行の広域求職活動費は、公共職業安定所の紹介により広範囲にわたる求職活動を支援するために、交通費等を支給する制度ですが、当該活動費の利用実績が非常に少ないことから、その内容が大幅に変更され、受給資格者の求職活動に伴う経費の負担を軽減する仕組みが導入されました。
    • 受給資格者等(受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者)が公共職業安定所の紹介により、往復200勸幣(現行300勸幣)の遠隔地の求職活動を行う場合の交通費等を支給する。
    • 求職活動に際して、必要性が高い短期の資格講座を受講する場合の受講費の一定割合を支給する(ただし、一般教育訓練の対象となっていないものに限る。)。
    • 求職活動を容易にするための役務の利用(就職面接等に伴い、必要となる子どもの一時預かりを利用する場合の費用の一定割合を支給する。)

失業等給付の特定受給資格者の範囲拡大(施行期日 平成29年1月1日)

  • 特定受給資格者の基準の見直しが行われました。すなわち、現行では特定受給資格者の基準に該当しない事例について見直しが行われ以下のように特定受給資格者に該当するか否かの基準が追加されました。
  • 現行の分類「解雇等により離職した者」の中の「労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者」について見直しが行われ、次の基準が追加されました。
    • 就職後1年を経過した後に、正当な手続(労基法第90条又は労働組合法第14条による手続)を経ずに労働条件が変更され、被保険者が労働契約の締結に際し、事業主から明示された労働条件と著しく異なることとなった場合については、
      当該変更後の労働条件は労働契約締結時には予期されなかったものであるが、就職から1年以上経っていたことをもって特定受給資格者に該当しないというケースが想定される。このような事情によって離職した場合には、上記の事情が発生した時を始点として、就職後1年を経過するまでの間に離職した場合について、特定受給資格者に該当する。
  • 現行の「賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと」について見直しが行われ、次の基準となりました。
    • 賃金の額を3で除して得た額を上回る額が支払われなかった月が1月あった場合、特定受給資格者に該当する。
  • 現行の「上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者」が見直され、次の基準が追加されました。
    • 育児・介護休業法に規定する申出等(育児休業・介護休業の申出、子の看護休暇・介護休暇の申出など)の拒否及び妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いがあって離職した場合は、特定受給資格者に該当する。
  • 上記理由に該当する離職者が出た場合は、雇用関係助成金の不支給となる一要件である「当該事業所で雇用する雇用保険被保険者を特定受給資格者となる離職理由により、当該雇入れ日における雇用保険被
    保険者数の6%を超えて、かつ、4人以上離職させていた場合」に該当する場合には、助成金の申請を行うときには、特定受給資格者の人数の把握も必要となります。

男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働者派遣法の一部改正

職場におけるマタハラ等に関する雇用管理上の措置(新設、施行期日:平成29年1月1日)

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(通称:男女雇用機会均等法)及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(通称:育児・介護休業法)の改正

  • 今回の改正で、マタニティ・ハラスメント(以下「マタハラ」という。)防止策として、新たに職場における妊娠、出産、産前産後休業、育児休業等に関する言動に起因する問題により当該女性労働者の就業環境が害される事態が生じた場合、当該女性労働者からの相談に応じるなど、適切に対応するために必要な体制の整備その他雇用管理上の措置が、事業主に義務付けられました。
  • これまでも事業主に対する上記を理由とした不利益取扱いの禁止等の規定はありましたが、今回の改正で、職場の上司や同僚が、妊娠、出産又は育児休業等について職場環境を害する言動が行われないよう事業主が防止策を講じなければならないとしています。

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(通称:労働者派遣法)の一部改正

[ 男女雇用機会均等法の適用に関する特例の追加 ]

  • 前述のマタハラに関する雇用管理上の必要な措置に関して、労働者派遣の役務を受ける者、すなわち派遣先事業主も派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、規定の適用を受けることになります。

[ 育児・介護休業法の適用に関する特例の新設 ]

  • 派遣先事業主がその指揮命令下で労働させる派遣労働者の就業に関して、派遣先事業主も当該派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、育児・介護休業法に規定する措置を講じなければなりません。
  • 具体的には、次の育児・介護休業法の条文にある不利益取扱いの禁止が該当します。
    • 第10条(育児休業の申出、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第16条(介護休暇の申出、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第16所の4(看護休暇の申出、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第16条の7(介護休暇の申出、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第16条の10(3歳未満の育児をする労働者の所定外労働の制限請求、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第18条の2(時間外労働の制限の請求、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第20条の2(深夜業の制限請求、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第23条の2(3歳未満の子を養育する労働者の所定労働時間短縮措置の申出、取得を理由とする不利益取扱いの禁止)
    • 第25条(今回の改正で新設:職場における妊娠、出産、産前産後休業、育児休業等に関する言動に起因する問題により当該女性労働者の就業環境が害される事態が生じた場合、当該女性労働者からの相談に応じるなど、適切に対応するために必要な体制の整備その他雇用管理上の措置を講ずること)
  • 今回の改正を踏まえて、マタハラについて就業規則の服務規律等に規定する必要があります。併せて、懲戒事由への追記も必要となります。どのような言動がマタハラに該当するのか、今後、厚生労働省から指針が出される予定であるため、それを踏まえての規定を作成する必要があることと、場合によっては、企業内における社員教育も必要となることも考えられます。
  • マタハラに伴う降格処分については、最高裁で事業主の不法行為との判決も出されており、マタハラによる精神障害等は労災認定される可能性もあり、会社として不法行為責任又は安全配慮義務違反等に問われないよう、規定の整備及び必要な場合は相談窓口の設置等の対応も求められることも考えられます。 (2016.05.22脱稿)

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