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法改正情報35


障害者の雇用の促進等に関する法律(平成25年法律第46号)に係る一部改正の概要

(平成28年4月1日施行、一部平成30年4月1日施行、通称「障害者雇用促進法」)

法改正の趣旨

  • 平成25年改正障害者雇用促進法において、事業主の障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務が規定され、平成27年3月には、その具体的な内容を定める障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針
    が策定されたが、今回の改正で、事業主に対して障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務について規定され、平成28年4月1日から施行されたものです。
  • 平成18年12月に国連総会で採択された障害者権利条約では、一般的義務として、障害に基づくいかなる差別(合理的配慮の否定を含む。)もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実
    現することを確保し、及び促進すべきこと等を定めていることから、国内法を整備する必要があったことから改正したものです。

改正法の目的  

  • 用の分野における障害者に対する差別の禁止及び障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置(合理的配慮の提供義務)を定めるとともに、障害者の雇用に関する状況に鑑み、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える等の措置を講ずる。

法改正の概要  

障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応(施行期日 平成28年4月1日)  

  1. 障害者に対する差別の禁止 雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止する。
  2. 合理的配慮の提供義務⇒事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることを義務付ける。ただし、当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く。
  3. 苦情処理・紛争解決援助
  • 事業主に対して、1・2に係るその雇用する障害者からの苦情を自主的に解決することを努力義務とした。
  • 1・2に係る紛争について、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の特例(紛争調整委員会による調停や都道府県労働局長による勧告等)を整備した。

法定雇用率の算定基礎の見直し(施行期日 平成30年4月1日)  

  • 法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加える。ただし、施行(平成30年4月1日)後5年間に限り、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴う法定雇用率の引上げ分について、本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能とする措置をとる。

その他(施行期日 公布日:平成25年6月19日)  

  • 障害者の範囲の明確化その他の所要の措置を講ずる。

障害者に対する差別の禁止  

「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第116号に示された具体的事例)  

(注) ここで禁止される差別は、「障害者であることを理由とする差別(直接差別をいい、車いす、補助犬その他の支援器具等の利用、介助犬の付添い等の社会的不利を補う手段の利用等を理由とする不当な不利益取扱いを含む。)とされています。

募集及び採用  

  • 募集及び採用に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者を募集又は採用の対象から排除すること。
  2. 募集又は採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 採用の基準を満たす者の中から障害者でない者を優先して採用すること。

    ※ 上記に関し、募集に際して一定の能力を有することを条件とすることについては、その条件が当該企業において業務遂行上特に必要なものと認められる場合には、障害者であることを理由とする差別に該当しない。

賃金  

  • 賃金の支払に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者に対して一定の手当等の賃金の支払をしないこと。
  2. 一定の手当等の賃金の支払に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。

配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)  

  • 配置に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その対象から障害者を排除すること、その条件を障害者に対してのみ不利なものとするこは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 一定の職務への配置に当たって、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすること又はその対象から障害者を排除すること。
  2. 一定の職務への配置に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 一定の職務への配置の条件を満たす労働者の中から障害者又は障害者でない者のいずれかを優先して配置すること。

昇進(ここでいう昇進には、職制上の地位の上方移動を伴わない、いわゆる「昇格」も含む。)  

  • 昇進に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差
    別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者を一定の役職への昇進の対象から排除すること。
  2. 一定の役職への昇進に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 一定の役職への昇進基準を満たす労働者が複数いる場合に、障害者でない者を優先して昇進させること。

降格(ここでいう降格には、昇進の反対の措置である場合と、昇格の反対の措置である場合の双方を含む。)  

  • 降格に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者とすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者を降格の対象とすること。
  2. 降格に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 降格の対象となる労働者を選定するに当たって、障害者を優先して対象とすること。

教育訓練  

  • 教育訓練に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者に教育訓練を受けさせないこと。
  2. 教育訓練の実施に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 教育訓練の対象となる労働者を選定するに当たって、障害者でない者を優先して対象とすること。

福利厚生  

  • 福利厚生の措置に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者に対して福利厚生の措置を講じないこと。
  2. 福利厚生の措置の実施に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 障害者でない者を優先して福利厚生の対象とすること。

職種の変更(職種とは、職務や職責の類似性に着目して分類されるものであり、「営業職」・「技術職」の別や、「総合職」・「一般職」の別などをいう。)  

  • 職種の変更に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その対象から障害者を排除すること、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 職務の変更に当たって、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすること又はその対象から障害者を排除すること。
  2. 職務の変更に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 職種の変更の基準を満たす労働者の中から障害者又は障害者でない者のいずれかを優先して職種の変更の対象とすること。

雇用形態の変更(雇用形態とは、労働契約の期間の定めの有無、所定労働時間の長短等により分類されるものであり、いわゆる「正社員」「パートタイム労働者」「契約社員」などをいう。)  

  • 雇用形態の変更に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その対象から障害者を排除すること、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 雇用形態の変更に当たって、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすること又はその対象から障害者を排除すること。
  2. 雇用形態の変更に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 雇用形態の変更の基準を満たす労働者の中から障害者又は障害者でない者のいずれかを優先して雇用形態の変更の対象とすること。

退職の勧奨  

  • 退職の勧奨に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者とすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者を退職の勧奨の対象とすること。
  2. 退職の勧奨に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 障害者を優先して退職の勧奨の対象とすること。

定年  

  • 定年に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者のみとすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者に対してのみ定年の定めを設けること。
  2. 障害者の定年について、障害者でない者の定年より低い年齢とすること。

解雇(解雇とは、労働契約を将来に向かって解約する事業主の一方的な意思表示をいい、労使の合意による退職は含まない。)  

  • 解雇に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者とすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者を解雇の対象とすること。
  2. 解雇の対象を一定の条件に該当する者とする場合において、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 解雇の基準を満たす労働者の中で、障害者を優先して解雇の対象とすること。

労働契約の更新(労働契約の更新とは、期間の定めのある労働契約について、期間の満了に際して、従前の契約と基本的な内容が同一である労働契約を締結することをいう。)  

  • 労働契約の更新に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
  1. 障害者であることを理由として、障害者について労働契約の更新をしないこと。
  2. 労働契約の更新に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
  3. 労働契約の更新の基準を満たす労働者の中から、障害者でない者を優先して労働契約の更新の対象とすること。

法違反とならない場合  

  • 上記の「募集・採用」から「労働契約の更新」までに関し、次に掲げる措置を講ずることは、障害者であることを理由とする差別に該当しない。
  1. 積極的差別是正措置として、障害者でない者と比較して障害者を有利に取り扱うこと。
  2. 合理的配慮(詳細後記)を提供し、労働能力等を適正に評価した結果として障害者でない者と異なる取扱いをすること。
  3. 合理的配慮に係る措置を講ずること(その結果として、障害者でない者と異なる取扱いとなること)
  4. 障害者専用の求人の採用選考又は採用後において、仕事をする上での能力及び適正の判断、合理的配慮の提供のためなど、雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認すること。

障害者に対する合理的配慮の提供義務  

「雇用の分野における障碍者と障害者でない者との均等な機会若 しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」平成27年厚生労働省告示第117号に示された具体的事例)  

合理的配慮に関する基本的な考え方  

  1. 合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のものであること。
  2. 合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には、合理的配慮の提供義務違反を問われないこと。
  3. 過重な負担にならない範囲で、職場において支障となっている事情等を改善する合理的配慮に係る措置ガイドラインが複数あるとき、事業主が、障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置を講ずることは差し支えないこと。
    また、障害者が希望する合理的配慮に係る措置が過重な負担であるとき、事業主は、当該障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で過重な負担にならない範囲で合理的配慮に係る措置を講ずること。
  4. 合理的配慮の提供が円滑になされるようにするという観点を踏まえ、障害者も共に働く一人の労働者であるとの認識の下、事業主や同じ職場で働く者が障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要であること。

合理的配慮の事例  

  • 合理的配慮の事例として、多くの事業主が対応できると考えられる措置の例は、以下の表の第一欄に掲げる障害区分に応じ、それぞれ表の第二欄に掲げる場面ごとに対応する表の第三欄に掲げる事例である。
  • 合理的配慮は、個々の障害者である労働者の障害(障害が重複している場合を含む。)の状態や職場の状況に応じて提供されるものであり、多様性があり、かつ、個別性が高いものであること。したがって、こ
    こに記載されている事例はあくまでも例示であり、あらゆる事業主が必ずしも実施するものではなく、また、ここに記載されている事例以外であっても合理的配慮に該当するものがあること。
  • 採用後の事例における障害については、中途障害によるものも含みます。
    (注) この法律でいう「障害」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)の障害者と、その他の心身の機能の障害を含めたものをいいます。
障害区分場面事例
視覚障害募集及び採用時・ 募集内容について、音声等で提供すること。
・ 採用試験について、点字や音声等による実施や、試験時間の延長を行うこと。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・拡大文字、音声ソフト等の活用により業務が遂行できるようにすること。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・職場内の机等の配置、危険箇所を事前に確認すること。
・移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置や打合せ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
聴覚・言語障害募集及び採用時・面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
・面接を筆談等により行うこと。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・業務指示・連絡に際して、筆談やメール等を利用すること。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・危険箇所や危険の発生等を視覚で確認できるようにすること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
肢体不自由募集及び採用時・面接の際に、できるだけ移動が少なくてすむようにすること。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置や打合せ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること。
・机の高さを調節すること等、作業を可能にする工夫を行うこと。
・スロープ、手すり等を設置すること。
・体温調整しやすい服装の着用を認めること。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
内部障害募集及び採用時・面接時間について、体調に配慮すること。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
知的障害募集及び採用時・面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと。
・ 図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、一つずつ行う等作業手順を分かりやすく示すこと。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
精神障害募集及び採用時・面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること。
・本人の状況を見ながら業務量等を調整すること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
発達障害募集及び採用時・面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
・面接・採用試験について、文字によるやりとりや試験時間の延長等を行うこと。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うこと。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・感覚過敏を緩和するため、サングラスの着用や耳栓の使用を認める等の対応を行うこと。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
難病に起因する障害募集及び採用時・面接時間について、体調に配慮すること。
・面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。
高次脳機能障害募集及び採用時・面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
採用後・業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
・仕事内容等をメモにする、一つずつ業務指示を行う、写真や図を多用して作業手順を示す等の対応を行うこと。
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。
・本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。
・本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること。

合理的配慮の手続  

  1. 募集・採用時⇒障害者から事業主に対し、支障となっている事情等を申し出る。
    採用後⇒事業主から障害者に対し、職場で支障となっている事情の有無を確認する。
  2. 合理的配慮に関する措置について、事業主と障害者で話し合う。
  3. 合理的配慮に関する措置を確定し、講ずることとした措置の内容及び理由(「過重な負担」に当たる場合は、その旨及びその理由)を障害者に説明する。
    また、採用後において、措置の実施に一定の時間がかかる場合はその旨を障害者に説明する。
    ※ 障害者の意向確認が困難な場合、就労支援機関の職員等に障害者の補佐を依頼しても差し支えないこととされています。

過重な負担に対する判断  

  • 合理的配慮の提供義務は、事業主に対して「過重な負担」を及ぼすこととなる場合を除きます。
    この場合、事業主は、過重な負担に当たるか否かについて、次の要素を総合的に勘案しながら個別に判断することになります。
  1. 事業活動への影響の程度
  2. 実現困難度
  3. 費用・負担の程度
  4. 企業の規模
  5. 企業の財務状況
  6. 公的支援の有無
  • 事業主は、過重な負担に当たると判断した場合は、その旨及びその理由を障害者に説明する。その場合でも、事業主は、障害者の意向を十分に尊重した上で、過重な負担にならない範囲で、合理的配慮の措置を講じなければなりません。

相談体制の整備  

  • 事業主は、障害者からの相談に適切に対応するために、必要な体制の整備や、相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を労働者に周知する必要があります。
  • 事業主は、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止を定め、当該措置を講じていることについて、労働者に周知しなければなりません。

法定雇用率の算定基礎の見直し  

  • 法定雇用率の算定基礎の対象に、新たに「精神障害者」を追加することとなった(施行期日:平成30年4月1日)
  • 法定雇用率は、原則として5年ごとに見直すことになります。ただし、施行後5年間(平成30年4月1日〜平成35年3月31日まで)は猶予期間とし、精神障害者の追加に係る法定雇用率の引き上げ分は、計算式どおりに引き上げないこともできることとされています。

(注) 具体的な引上げ幅は、障害者の雇用状況や行政の支援状況等を踏まえ、労働政策審議会障害者雇用分科会で議の上、決定することになります。

助言、指導及び勧告(法第36条の6)  

(助言、指導及び勧告)
第36条の6 厚生労働大臣は、第34条、第35条及び第36条の2から第36条の4までの規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。

  • 条文内にある第34条以下については、次の規定内容となっています。
  1. 第34条⇒障害者に対する差別の禁止のうち、労働者の募集及び採用について、障害者でない者と均等な機会を与えなければならないと定めており、具体的には、当本文内の「障害者に対する差別の禁止の(募集及び採用)が該当します。
  2. 第35条⇒障害者に対する差別の禁止のうち、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならないと定めており、具体的には当本文内の「障害者に対する差別の禁止の(賃金〜労働契約の更新)が該当します。
  3. 第36条の2〜第36条の4⇒雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等を図るための措置に関する規定であり、具体的には、当本文内の「障害者に対する合理的配慮の提供義務」に示した具体的事例が該当します。
  • 当該改正法の施行通達(平成27年6月16日職発0616第1号、平成28年4月1日適用)に次のように示されています。

本条(第36条の6)の厚生労働大臣の権限は、労働者からの申立て、第三者からの情報、職権等その端緒を問わず、必要に応じて行使し得るものであること。
本条の「必要があると認めるとき」とは、法第34条、第35条及び第36条の2から第36条の4までの規定によって具体的に事業主の義務とされた事項について、当該義務が十分に遂行されていないと考えられる場合において、当該義務の遂行を促すことが法第34条、第35条及び第36条の2から第36条の4までの規定の目的に照らし必要であると認められるとき等をいうものであること。

障害者差別解消法との関係  

  • 平成28年4月1日施行で新たに制定された「障害者差別解消法」との関係について、今回の改正障害者雇用促進法の施行通達に次のように示されています。

障害者差別解消法においては、事業者の合理的配慮の提供は努力義務とされている。これは、障害者差別解消法は、事業分野を特定せず、包括的に事業者に対して障害者に対する合理的配慮を求めるものであるが、障害者と事業者との関係は事業・業種・場面・状況によって様々であり、求められる配慮の内容・程度も多種多様であることから、各主務大臣が所掌する分野における対応指針を作成し、事業者は、対応指針を参考として、取組を主体的に進めることとしたためである。
一方、雇用の分野においては、障害者権利条約において「職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保すること」とされていることや、障害者の自立や社会参加にとって極めて重要な分野であること、労働者と事業主とは雇用契約における継続的な関係にあるとともに、一般に労働者は事業主の指揮命令下にあることから、法第36条の2及び第36条の3の事業主の合理的配慮の提供は法的義務としている。

  • 対応指針(ガイドライン)とは
  1. 福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(平成27年11月11日厚生労働大臣決定)
  2. 医療分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針
  3. 衛生分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(平成27年11月11日厚生労働大臣決定)
  4. 社会保険労務士の事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(平成27年11月11日厚生労働大臣決定)
    として公表されています。
  • なお、対応要領も示されていますが、これは例えば厚生労働省の場合、厚生労働省職員がその事務又は事業を行うに当たり、障害者に対して不当な差別的取扱いをしないこと、
    また、社会的障壁を取り除くための必要かつ合理的な配慮を行うために必要な考え方などを記載したものです(平成27年厚生労働省訓第45号)

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