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法改正情報36


平成28年度地域別最低賃金額改定の目安公表

〜Aランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円〜

平成28年7月28日に開催された第46回中央最低賃金審議会において、本年度の地域別最低賃金額改定の目安について厚生労働大臣宛に答申されたことに伴い、公表されました。
 

答申のポイント  

ランクごとの目安  

  • 各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク25円(昨年度19円)、Bランク24円(同18円)、Cランク22円(同16円)、Dランク21円(同16円)となっており、ランク別の都道府県の詳細は下表のとおりです。
(注) 「ランク」は、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を提示しているものです。&br;現在、Aランクで5都府県、Bランクで11府県、Cランクで14道県、Dランクで17県と分類されています。
ランク都道府県
A千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
B茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
C北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡
D青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
  • 今後は、各地方(都道府県)最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。
  • 本年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は24円(昨年度は18円)となり、目安額どおりに最低賃金が決定された場合、最低賃金が時給で決まるようになった平成14年度以降で、最高額となる引上げとなります。
  • 今回の目安額どおりに最低賃金が引き上がると、都道府県別で最高の東京が932円となり、最低の鳥取、高知、宮崎、沖縄の4県が714円であり、その格差は218円と10年前の平成18年度の2倍に拡大することになり、最低賃金の低い地域では労働力の外部流出が起こりかねないと危惧する声も上がっている。

目安に関する小委員会報告  

労働者側見解  

  • 労働者側委員は、最低賃金の水準が最低賃金法(昭和34年法律第137号)第1条に規定する法の目的を満たしているかどうかという観点から議論することが必要である。
  • 目安制度の目的が、地方最低賃金審議会が地域別最低賃金を決定する際の基本的事項や賃金水準の全国的整合性を図ることであること等を踏まえれば、地域間格差を拡大する目安を示すことは不適当であり、その縮減を図ることが重要である。
  • 生産年齢人口の減少など人口動態の変動を踏まえた上で、労働生産性を高めつつ、労働の質や量の変化に応じて最低賃金水準を引き上げることが重要である。
  • 家族の生活に必要な賃金水準を確保するとともに、所得格差に歯止めをかける観点からは、現在の地域別最低賃金の水準は不十分であり、特に地域における労働者の生計費と賃金を重視しつつ、雇用戦略対話の全国で最低でも800円、全国平均1,000円という目標到達へ向け、早期にその道筋を示す目安額とすべきである。

[ 参考 最低賃金法第1条(目的) ]
この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

使用者側見解  

  • わが国の景気は穏やかな回復基調にあるものの、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費は伸び悩むとともに、為替は円高傾向にあり、イギリスのEU離脱問題などによって、世界経済の不透明感が一層増している中、テロへの世界的な不安などと相まって、日本経済の先行きに関する懸念は高まっている。
  • 中小企業については、倒産件数は減少しているものの、企業数は、2009年の420万から2014年には381万社に減少するなど廃業は依然として多く、人手不足や事業継承の問題も深刻化しており、総じて厳しい経営状況にある。
  • 近年の最低賃金が、景気や経営の実態とは関係なく、いわゆる「時々の事情」によって大幅な引き上げが行われ続けてきており、地域別最低賃金の近傍で働く労働者が増加している中で、中小零細企業の経営体質を強化する支援策が拡充されることなく、最低賃金を大幅に引き上げることは懸念される。
  • 「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)における最低賃金に関する記載については、最低賃金を毎年自動的に3%引き上げることを意味するのではなく、名目GDP成長率が3%を下回る場合は、当該経済状況に配慮し、最低賃金の引上げを抑えるものであるとともに、「ニッポン一億総活躍プラン」の検討をはじめた昨年秋と比べて、我が国経済の状況や、中小企業を巡る経営状況が悪化している点を考慮すべきである。
  • 今年度の最低賃金の決定に当たっては、最低賃金法の原則である、地域における労働者の生計費、賃金及び通常の事業の賃金支払能力の3要素に基づき、最低賃金引上げの前提条件である名目GDP成長率、中小企業や小規模事業者の生産性向上に向けた支援の状況、取引条件の改善等に関する状況を踏まえながら、
    各種統計データ、特に、中小零細企業の賃金引上げの実態を示す賃金改定状況調査結果の第4表のデータを重視した議論を行うべきである。

有識者の声〜京都女子大学客員教授 橘木 俊詔氏  

  • 最低賃金の全国平均引上げ額の目安が24円も上がったことを率直に評価したい。10年も前から最低賃金の引上げを訴えてきたが、今の決め方になった2002年度以降、今回の引上げ幅が最大になったことに隔世の感を禁じ得ない。
  • ただ、最低賃金の引上げは、まだ道半ばだ。先進国の中で低水準の日本の最低賃金は、貧困を生む最大の要因だ。最低賃金の引上げで、非正規社員の人も高い賃金を得られるようにしなくてはならない。
  • 個人的には、1,000円を超えてアップしてもいいと考えている。今回はそのための一里塚として大きく引上げられたのは朗報だ。

[ 参考 ] 北海道内の最低賃金違反の状況(新聞報道から)  

  • 北海道労働局は、平成28年1月〜3月に雇用実態を調査した道内594事業所のうち、14・6%に当たる87事業所が最低賃金・時給764円(平成27年度)を守っていなかったと公表した。当該最低賃金を守らない事業所の割合(違反率)は、全国平均より1・3ポイント高かったという。
    労働局は対象事業所に対し是正勧告し、さかのぼって不足分を支払うよう指導した。
  • 違反の割合が高かった業種は、社会福祉施設などの保健衛生業や旅館・飲食店などの接客娯楽業等であった。最低賃金未満で雇用されていた労働者は223人であり、このうち約8割はパートタイマー、アルバイトであった。
  • 違反した事業所が最低賃金未満で雇用していた理由の主なものは、次のとおり(複数回答)。
  1. 最低賃金額を知っていたが、賃金改定をしていなかった(29.・3%)
  2. 適用される最低賃金額を知らなかった(17・2%)
  3. その他、時給の算出方法を知らなかった、人件費のコストが膨らむため、等がある。
  • 例外措置として最低賃金未満で雇用することは出来ますが(最低賃金の減額特例)、この場合は所定の申請書により都道府県労働局長の許可を受けなければなりません。対象は、次の事情にある労働者です(最
    低賃金法第7条)。
  1. 精神又は身体の障害にり著しく労働能力の低い者
  2. 試の試用期間中の者
  3. 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であって厚生労働省令で定めるもの
  4. 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者

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