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労務管理情報(1)


猪(い)〜年(とし)社労士@小野寺(おやじ)の労務管理情報
第1回 平成28年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果(厚労省公表)


  • 今回から新たに「猪(い)〜年(とし)社労士@小野寺(おやじ)の労務管理情報」として、さまざまな情報を提供させていただきます。
    第1回として、例年厚生労働省から公表される賃金不払残業の是正結果についてお知らせします。
  • 時期が遅い情報ですが、今後、働き方改革について触れていく点について前提かつ参考となると考えます(正直言って、本情報の立ち上げが諸般の事情で遅くなったためです。)

タイトルの由来

かつて標記のタイトルでメルマガを発行していました。これからは、小職のホームページで各種の労務管理情報を発信していきます。
なぜ、こういうタイトルにしたか――私は還暦近くに社労士事務所を開設したため、かつ、干支が「猪」であること、名字が「小野寺」であること等からもじって付けたものです。

平成28年度賃金不払残業の是正結果公表  

1,349企業に対し、合計127億2,327万円の支払いを指導  

全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成28年4月から平成29年3月までの期間に不払いだった割増賃金各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。

賃金不払残業の是正結果のポイント  

  • 是正企業数 1,349企業(前年度比 1企業の増)
    うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、184企業
  • 支払われた割増賃金合計額 127億2,327万円(前年度比 27億2,904万円の増)
  • 対象労働者数 9万7,978人(前年度比 5,266人の増)
  • 支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり943万円、労働者1人当たり13万円

本年度の是正結果からうかがえる事  

  1. 近年、働き方改革に注目が集まり、企業においても長時間労働の縮減、ワークライフバランスの推進及び健康経営に対する関心度の集まり等から見ると、相変わらず賃金不払残業が多いことが驚きです。
  2. なかでも、支払われた割増賃金の平均額が1企業当たり943万円であるのに対し、労働者1人当たり支払われた割増賃金の額は、わずか13万円となっています。
    これは、企業として全社あげて構造的に賃金不払いの体制となっていることが考えられます。したがって、労働基準法の規定の正しい理解と、給与計算システムの見直しと正しい設定が必要と考えます。

業種別の是正支払額  

  • 第1位 商業 29億4,885万円(全体の23.1%)
  • 第2位 保健衛生業 20億6,909万円(同 16.2%)
  • 第3位 製造業 16億8,367万円(同 13.2%)
  • 第4位 建設業 14億6,157万円(同 11.5%)
  • 第5位 運輸交通業 9億6,095万円(同 7.6%)
    • 本年の公表では、これまで是正支払額のトップ3を企業単位で発表していましたが、今回は業種別としています。

過去5年間の割増賃金の是正支払状況(100万円以上)  

年度平成28年度平成27年度平成26年度平成25年度平成24年度
企業数1,3491,3481,3291,4171,277
対象労働者数(百万)9809272,0351,1491,024
是正支払額(万円)1,272,327999,4231,424,5761,234,1981,045,693

賃金不払残業の解消のための取組事例  

事例1(電気通信工事業)  

  • 賃金不払残業の状況
    • インターネット上の求人情報等の監視情報(※)を受けて、労基署が立入調査を実施
    • 会社では、労働者が「申告書」に記入した超過勤務時間数により賃金計算を行っていたが、パソコンのログ記録とのかい離、夜間の従業員駐車場の駐車状況、労働者のヒアリング調査結果などから、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導した。

[ 監視情報 ] 厚生労働省は、平成27年度から委託事業により、インターネット上の賃金不払残業などの書き込み等の情報を監視、収集する取組みを実施している。労基署では、当該情報に基づき必要な調査等を行うこととしている。

  • 企業が実施した解消策
    • 会社は、パソコンのログ記録や警備システムの情報などを用いて調査を行い、不払いとなっていた割増賃金を支払った。
    • 賃金不払残業の解消のために次の取組みを実施した。
       + 代表者が「賃金不払残業撲滅宣言」を行うとともに、全店で説明会を開催した。
       + 「申告書」とパソコンのログ記録に30分以上のかい離が認められた場合には、理由を明記させ、所属長の承認を得ることとした。
       + 総務部職員が定期的に、労働時間が適正に把握されているかについて実態調査を行い、必要な指導を行うこととした。

事例2(木材・木製品製造業)  

  • 賃金不払残業の状況
    • タイムカード打刻後に作業を行うよう指示されているとの労働者からの情報に基づき、労基署が立入調査を実施した。
    • 立入調査の際、労働者に対して無記名アンケートを実施したところ、大多数の労働者からタイムカード打刻後に翌日の準備作業や清掃作業が行われ、また昼休憩時間中に会議が開催されているとの回答が得られ、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。
  • 企業が実施した解消策
    • 会社は、労働時間の実態調査を行った上で、不払いとなっていたタイムカード打刻後の作業時間及び会議に出席した時間について、割増賃金を支払った。
    • 賃金不払残業の解消のために次の取組みを実施した。
       + 休憩時間中の会議を禁止した。
       + 社内説明会を開催し、全ての作業が終わった後にタイムカードを打刻するなど、労働時間を適正に記録することについて全管理者及び労働者に徹底した。
       + タイムカードが適正に打刻されているか否かを確認するため、代表者自らが社内巡視を行うこととした。

事例3(小売業)  

  • 賃金不払残業の状況
    • 違法な長時間労働が疑われる情報を基に、労基署が立入調査を実施。
    • 会社は、タイムカードにより労働時間を管理していたが、警備記録を確認したところ、タイムカードの打刻時刻とかい離があり、また、会社が指示したユニフォームへの着替えを行った後にタイムカードを打刻している状況も認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。
  • 企業が実施した解消策
    • 会社は、労働者からのヒアリングなどの実態調査を行い、不払いとなっていた割増賃金を支払った。
    • 賃金不払残業の解消のために次の取組みを実施した。
       + 店長会議において労務管理に関する勉強会を開催するとともに、店舗内の主任会議、朝礼及び社内報においてタイムカードを適正に打刻するよう、全労働者に周知を図った。
       + 人事総務部職員が、定期的に警備記録とタイムカードの打刻時刻を確認するとともに、各店舗の労務管理状況の抜き打ちチェックを行うこととした。
       + 労働組合と労務管理に関する議論を行い、改善すべき点をとりまとめ、順次実施した。
       + 賃金台帳などの労務管理に関する書類について、定期的に社会保険労務士による監査を実施することとした。  (了)

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